新常識レッスン④:グリップが持つ魔法の力
- 孝幸 平井
- 7月15日
- 読了時間: 4分
更新日:7月20日

“握り方”の正しい変化により、スイングは劇的に変わる
■ グリップのこれまでの常識に、ちょっと待った
「左手の小指と薬指はしっかり、他の指は柔らかく」——
昔ながらの“正統派”とも言えるグリップ理論。多くの方がこの教えに慣れ親しんでいることでしょう。
しかし私は、そこに少し違和感を覚えています。
なぜなら、小指や薬指に力を入れて構えたとき、その力はインパクトの瞬間に抜けてしまうからです。
本来クラブに最もエネルギーが伝わるべき「インパクトからフォロー」に向かう流れでグリップが緩んでしまっては、力強いスウィングは生まれません。
■ ゆるく握るべき、本当の理由
「もっと柔らかく握りましょう」と言われた経験、ありますよね。
しかし実際には、クラブには重さがあり、ボールを遠くへ飛ばすにはそれなりの力が必要。
フワフワのままではボールに力が伝わらないことも事実です。
それでも“ゆるく握れ”と教えられるのは、人間の体に備わった「力を出すためには、一度力を抜く」という逆説的な身体の仕組みがあるから。
アドレスで余計な力を入れずに握っておけば、インパクトの瞬間に自然と力が入るようになります。
■ 筆のようにクラブを握る
私がよく使う表現があります。
「クラブで空中に字が書けるくらいの柔らかさ」
自然体で立ち、腕からクラブの先までが1本の筆のようだと想像してみてください。
このとき、小指や薬指に力が入っていると、筆はうまく動かず、クラブもスムーズに振れません。
書家が筆を持つとき、指に力を入れているようには見えませんよね。
力まず添えるように持ち、全身のリズムと動きで筆を操る。クラブにも同じ感覚が求められるのです。
■ グリップで「中心感覚」を取り戻す
ゴルフは、日常では行わない不自然な動きの連続。
特に失われがちなのが、自分の「中心感覚」です。
実はその感覚を呼び戻すスイッチがグリップにあります。
◁左右に引っ張って、中心に立つ
アドレスで違和感を覚えたら、両手でクラブを左右に軽く引っ張ってみてください。
すると、自然とクラブが体の中心(みぞおちあたり)に収まるはずです。
これは、自転車のハンドル操作と同じ。左右で軽く引っ張り合うことで、無意識に中心が整います。
◁上下に引っ張って、スウィングを感じる
スウィング中は上下の張力が鍵になります。
左手はグリップエンド方向へ、右手はシャフト方向へ、自然に離れようとするような張りを感じながら振ってみましょう。
最下点を過ぎた瞬間、その張りがふっと解け、両手が引き寄せられるような感覚が生まれます。
この「遠心力から求心力」への切り替えがわかると、ミスショットも自然と減っていきます。
■ グリップが変われば、ゴルフが変わる
グリップとは、クラブを握る“技術”ではなく、
クラブを身体の一部として扱うための“感覚のハブ”なのです。
● まとめ:3つのポイント
• クラブで空中に字を書くように握る
• 左右に引っ張り合って、中心を見つける
• 上下に張って、スイングの流れをつかむ
この3つを感じられるようになると、クラブは単なる“道具”ではなく、身体の延長として機能し始めます。
スウィングは、もっと自然に、もっと自由に。
力まず、美しく、そして遠くへ——
あなたのゴルフは、必ず変わりはじめます。
■ Q&A:グリップの疑問に答えます!
Q1. 「柔らかく握る」って、どのくらい柔らかく?
A. 空中に字が書けるくらいの柔らかさを目安にしましょう。
グリップを強く握らなくても、手首のしなりや遠心力を活かせばクラブは自然と走ります。
Q2. 小指や薬指に力が入ってしまいます……
A. まずは力を抜いて、両腕が1本の「筆」になったような感覚を試してみてください。
小指や薬指に力が入っていると筆が動かない=クラブも動かないと気づくはずです。
Q3. アドレスでの「違和感」をどうすれば?
A. クラブを左右に引っ張って、体の中心に落ち着かせてみましょう。
この感覚がつかめると、自分の軸が定まり、スウィング全体が安定してきます。
Q4. グリップが緩むクセを直すには?
A. 上下方向に軽く引っ張り合う感覚でスイングしてみてください。
インパクト前後で“張り”と“解放”のリズムがつかめれば、自然と緩みは減ります。
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