55歳からのスイング⑧「手打ち」からの卒業に向けて
- 孝幸 平井
- 8月2日
- 読了時間: 4分
更新日:8月3日

「手で打つな」「身体でスイングせよ」
ゴルフの世界で何度も聞くこの言葉。
しかし、実際にスイングするとなると、多くのアマチュアはボールの位置やフェースの向きにとらわれて、つい手先で細工しようとしてしまいます。これこそが「手打ち」の正体です。
▶主役はボールやクラブではなく「身体」
アドレスでは、ボールに意識を集中させすぎるのではなく、自分自身の身体のバランスを整えることが大切です。スイングでも、主役はフェースやヘッドではなく「身体」。アドレスで作ったバランスを、スイングの始動でもそのまま保つ。つまり、「身体全体で始動する」こと。それだけを意識すればよいのです。
フェースの向きをコントロールしようとすると、小さな筋肉(手首や腕)に頼ることになります。しかし、そのような筋肉は、繊細な動きには強くても、力強く正確なスイングには向きません。毎回違う動きになってしまい、結果としてミスにつながるのです。
▶背中の筋肉でクラブを動かす
「クラブヘッドに5キロの鉄球がついていたら」と想像してみてください。
そのクラブを腕だけで上げたり下ろしたりするのは無理ですよね? クラブ全体を、体幹の大きな筋肉、特に背筋を使って動かすのが正解です。
この動きこそが、選手たちが子供の頃に身につけていた始動の正体です。
バックスイングでは、手や腕でこねるのではなく、背中の筋肉を意識してクラブを引き上げていきます。すると、グリップエンドは体の中心から外れず、自然とフェースがスクエアになる動きになります。フェースの開閉を気にすることなく、結果としてインパクトでフェースが戻るのです。
途中で「手が窮屈」になる感覚が出てくるかもしれませんが、そこでまた手に頼ってはいけません。コックは意識して「する」ものではなく、自然と「できる」もの。手首をどう動かそうかと考える時点で、すでにスイングの主導権が手に移ってしまっています。
▶後方にボールを飛ばす!?「2度のリリース」で手打ち卒業
コックを意識する代わりに、バックスイング中に“後ろにボールを飛ばす”意識を持ってみてください。手が腰を超えたあたりで、ひとつめの「リリース」。そして、インパクト後にふたつめの「リリース」。この“2回のリリース”こそが、左右対称のスイングのカギになります。
インパクト後だけに意識を集中すると、スイングの前後が非対称になり、バランスが崩れます。あくまで、「右側にも、左側にも同じポイントがある」スイングを目指すのです。
この感覚を養うのに有効なのが、「バケツドリル」のイメージ。バケツに水を入れてトップまで運ぼうとしたら、重力で頭から水をかぶってしまいますよね? だから、手が腰を越えたあたりで、思い切って飛球線後方に水を放り出してしまう。そんなイメージで、自然なリリースとコックが同時に生まれるのです。
【Q&A】「ゴルフ手打ち」脱却・左右対称スイングの疑問に答えます
Q. 手打ちだと何がいけないのですか?
A. 手や腕など小さな筋肉に頼ると、毎回の動作がバラバラになり、安定性を欠きます。さらに大きな力も出せないため、飛距離も方向性も安定しないうえ、ケガをしたりイップスにもつながります。
Q. 「身体で振る」と言われても、どう意識すればいいですか?
A. 一番簡単なのは「背中でクラブを上げる」意識を持つことです。背中や体幹などの大きな筋肉で動かせば、自然にクラブは正しい軌道を描き、再現性も高まります。
Q. コックを意識しないと、ちゃんとトップが作れません…
A. むしろ、意識するから不自然になるのです。正しく体を使ってスイングすれば、自然とトップはできてしまいます。コックは「する」ものではなく「できる」もの、と覚えておいてください。
Q. 2度のリリースって難しそうです。どんな感覚ですか?
A. 「バックスイングで、後ろに向かってボールを飛ばすように振る」イメージを持ってください。そうすると、自然と背中でクラブを動かせるようになり、左右対称のスイングになります。後方リリース → インパクト → フォローのリリース、という「流れ」を感じることがポイントです。
Q. どうすればスイングが左右対称になるのですか?
A. ひとつのコツは、フィニッシュの形をアドレスの反転と考えることです。バックスイング側でどこまでクラブが上がって、どんな体の形になるかをイメージし、それをフォロー側にも反映させます。そうすると、自然と左右が対になるような「2拍子スイング」が完成します。
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